top of page

Photo by Tada Yuko

神吉の家

実家とゆるやかに繋ぎ、集落をやわらかく照らす「大きな庇」

実家の側に住む

この場所は加古川の西岸に位置し、古くからの歴史と緑豊かな田園や山の風景、そして現代の暮らしが穏やかに共存しています。施主はUターンを機に、実家(主屋)の庭に新居を構える「敷地内同居」を選択しました。将来的に主屋も引き継ぎ、新旧二つの家を一体的に利用することを見据えています。実家の活用モデルの一つである「敷地内同居」の計画です。

「敷地内同居」の配慮

敷地を分筆し法的には別敷地となるが、主屋の空き部屋を活用できる利点を活かし、新居は必要最小限のコンパクトな2階建てが要望されました。「敷地内同居」として主屋とのゆるやかな繋がりに配慮しました。

Gemini_Generated_Image_c1ijqec1ijqec1ij.png

ゆるやかな繋がりを生む「大きな庇」

主屋と新居の間には塀などはつくらず、「大きな庇」を掛けることとしました。 北側にも視線や風が抜け、開放的でありつつ日差しを遮る場となります。庇の下は、農作業などの共用スペースとしても使われ、二世帯の「ゆるやかな繋がり」を創出します。

堅牢な「鎧」と「温もり」のコントラスト

ダークカラーのガルバリウム鋼板が「堅牢な鎧」のような安全な印象を与え、庇や軒の下の杉板が住まいとしての「温もり」を演出しています。雨が当たる部分はガルバリウム鋼板とし、雨が当たりにくい部分に杉板(保護塗料塗布)とすることでメンテナンスにも配慮しました。

コンパクトな住宅を効率的に計画

コンパクトな住宅ですが、なるべく広く感じるように工夫しています。窓は、田園や山の風景、北側の庭が見えるように配置しました。 また、2階の床・1階の天井を「CLT表し」とし、梁などの構造美を見せつつ、階高を抑えながら開放的な空間を目指しました。2階は屋根形状に合わせた勾配天井とし、高い部分に収納用ロフトを設けています。廊下・玄関は必要最小限の広さとしました。

視線を通す「スケルトン階段」

1階のLDKを広く見せる工夫として、蹴込み板(けこみいた)のないスケルトン階段を採用しました。 階段の向こう側まで視線が抜けるため、コンパクトなLDKでも圧迫感がありません。

「居場所」になるバルコニー

単なる物干し場だけでなく木製のカウンターを設置し、景色を眺めながらくつろげる「半屋外のリビング」のような居場所になっています。2階の個室から視線が外部へと抜け、実際の広さ以上の開放感を生んでいます。

深い軒により南からの日差しや雨を遮ることができます。

省エネ・環境への配慮

この住宅は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)であり、省エネに配慮しています。断熱等級5の性能を持ち、太陽光発電システムを南側に設置し、その電力でエコキュートのお湯を沸かすなどの工夫をしています。

集落を灯す「軒下」のあかり

軒下空間は、夜になると地域を照らす照明装置へと姿を変えます。軒裏の杉板に反射した光が、行灯(あんどん)のように周囲を優しく包み込みます。この柔らかな光が道路や主屋との間に広がることで、防犯性を高めるだけでなく、人口減少が進む集落に情緒的な夜景を提供します。

この住まいが、地域を元気づける新たな灯台となることを願っています。

1F.jpg

​配置図・1階イメージ

2階平面イメージ

断面イメージ

@2021 Shin-ichi Tamura Architects

bottom of page