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邸宅の記憶を継承する——居住者と建物との対話から生まれた、新たな価値

大阪府池田市の街並みに佇む、築約70年の和洋折衷の邸宅。 これまで幾度もの増築や改修を重ね、大切に守られてきたこの家の「次なる形」へのリノベーションです。

今回は、2階建て部分から平屋部分へと居住者が移り住み、空いたスペースには将来的に次世代のご家族が住まわれる。ライフスタイルが変化しても、この家が家族の舞台であり続けるための「住み継ぐリノベーション」を目指しました。 施主様、設計者、そして施工者が三位一体となり、じっくりと時間をかけて造り上げました。

「居住者との対話」

床暖房の広範な導入や高断熱サッシ、電動シャッターの設置など、現代の暮らしにふさわしい性能向上を図りました。間取りにおいては、リビング・ダイニングとキッチンの連続性を高め、開放的な空間を実現。ご要望を一つひとつ丁寧に整理し、意匠と機能の両立を目指しました。

木材の種類、柄、塗装色の選定など、インテリアへの造詣が深い施主様と共に検討を重ねることで、空間は日に日に洗練されていきました。特に、施主様がセレクトされた「ウィリアム・モリス」の輸入壁紙は、空間に深い彩りと気品を与えています。

「建物との対話」

工務店との詳細な調査に基づき、既存建物のポテンシャルを読み解きました。劣化部の補強を行う一方で、歴史を刻んだ天井、建具、照明器具は丁寧に修繕し再利用。新旧が溶け合うことで、この家にしか出せない唯一無二の空気が生まれました。

「職人の手仕事」

歴史ある建物の補修と、新たな素材の融合。それには現代では希少となりつつある、繊細な技術を持つ職人の手仕事が欠かせません。「良い家にする」という共通の目的のもと、細部の納まり(ディテール)に徹底してこだわり抜くことで、美しさと高い性能が同居する空間を形にしました。

「良い建物を、次代へ繋ぐ」

良い建物を住み継ぐために最も大切なこと。それは、「居住者の建物への深い愛着と、強い想い」に他なりません。その想いに応えようと、設計者と施工者が奮起し、一つの形にする。今回のプロジェクトでも、長時間の打ち合わせや現場確認に快くご協力いただいた施主様の熱意が、この住まいを完成へと導いてくれました。

建物の性能が向上し、自らの美意識が息づく端正なしつらえに包まれて、心豊かな暮らしが育まれていくことを願っています。

​※竣工写真は、引っ越し完了後撮影予定です。

改修設計:田村真一建築設計事務所

​施工:株式会社 山本博工務店

@2021 Shin-ichi Tamura Architects

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